Spring Bootでテストコードを実装!【Spring Boot テスト入門】受講体験記

こんにちは。
SB C&Sの佐藤です。
先日、株式会社カサレアル主催のSpring Bootアプリケーションのテスト手法を体系的に学べるセミナー「Spring Bootテスト入門」に参加しました。本記事では、その概要と受講の感想をご紹介します。
概要
今回受講した「Spring Bootテスト入門」セミナーは、Spring Bootアプリケーションのテストを体系的に学べる内容でした。単なるコードの確認ではなく、テスト設計の考え方から実装方法までを実際に手を動かしながら習得する形式となっており、初学者から実務でテストコードを書く必要があるエンジニアまで幅広く役立つ構成です。
セミナーではまず、ユニットテストと統合テストの違いを整理し、モックを使った効率的な検証方法や、SpringのDIコンテナを利用した統合テストの進め方を学びます。その後、@SpringBootTestや@Sqlを活用したテストデータ準備、MockMvcを使ったコントローラ層のテスト、Slice Testingによる断片的なテスト、さらにはHtmlUnitを利用したEnd-to-Endテストまで幅広くカバーしました。
また、テスト対象アプリケーションとして社員情報管理システムを題材にしており、DBアクセスや画面遷移を含めた実務に近いシナリオで学べる点も大きな特徴です。開催形式はオンライン開催(演習テキスト併用)スタイルで、講義を聞くだけでなく自分でコードを実行しながら理解を深められる実践的な構成となっていました。
開催形式について、今回私はオンライン開催コースでの参加でした。なおオフラインコースも用意されています。日程はどちらも2日間であり、各日程9:30~17:00(うち昼休憩1時間)で実施されます。
また本記事の内容は2025年8月時点の研修内容に基づきます。最新の実施状況・カリキュラムは主催者公式サイトをご確認ください。
学習内容
このコースは以下の6章で構成されています。
ユニットテストと統合テスト
まずはじめに、ユニットテストと統合テストの違いについて整理しました。
ユニットテストはクラス単位で実行し、依存する処理はMockitoでモック化して検証します。一方、統合テストはSpringのDIコンテナを立ち上げ、本番に近い状態で動作を確認する方法です。
この章を通じて、どの場面でユニットテストを優先すべきか、DBアクセスなど統合テストが必要になるケースを見極められるようになります。
この観点は意外と曖昧になりがちなので、基礎からしっかり固めつつ知識を広げられる、素晴らしい構成だと感じました。
資料内のユニットテストと統合テストの解説図。
とても分かりやすいです
Spring Boot Test入門
@SpringBootTestを付与するだけで、本番と同じ設定のDIコンテナを用いたテストが可能になります。また@Sqlを利用すれば、テスト前にDBに初期データを投入して安定したテスト環境を準備できます。
ここでは、DIの方法(フィールド/コンストラクタ注入など)や、テストデータの準備方法を実際に確認しました。統合テストの基本的な進め方を習得できるセクションです。
実装の解説があるため、しっかり理解しながらハンズオンを進められます。
Spring Boot Test基礎
この章では、Springのテストサポートをさらに深掘りし、プレゼンテーション層を含めた統合テストを学びます。具体的には、@SpringBootTestのwebEnvironment設定を利用してアプリケーションサーバーを起動し、HTTPリクエストとレスポンスを実際に検証する方法を紹介しました。
さらに、テストでのトランザクション管理についても学びます。@Transactionalを付与することで、テストメソッド終了後に自動でロールバックが行われ、データベースをクリーンな状態に戻せます。これにより、テストの独立性が保たれ、繰り返し実行しても結果が安定するという利点があります。
Spring MVC Test Framework
プレゼンテーション層のテストを効率化するために、MockMvcを用いた手法を学びました。サーバーを起動せずにコントローラのメソッドを呼び出し、レスポンスやエラーメッセージを検証できます。
さらにREST APIのテストでは、jsonPathを使ってレスポンスJSONの内容を確認する方法も紹介されました。これにより、フロントエンドと連携する場面でも品質を確保できます。
Webの断片テスト(Slice Testing)
@WebMvcTestや@DataJpaTestを使って、対象とする層だけを切り出してテストする手法も取り上げられました。
テスト対象を最小限にすることで、実行時間を短縮しつつ、効率的に品質を確認できます。コントローラ層やリポジトリ層にフォーカスしたテストを行いたい場合に有効です。
End-to-Endテスト
最後に、HtmlUnitを用いたE2Eテストを学びました。これは実際のユーザー操作に近い形でブラウザ画面をシミュレーションし、画面表示やボタン操作を検証するものです。
単体テストや統合テストに加えて、E2Eテストを組み合わせることで、より実運用に近い品質保証が可能になります。
このセミナーのおすすめ対象者
1.Spring Boot開発経験はあるが、テストコードに自信がないエンジニア
Spring Bootでアプリケーションを作った経験はあるが、テストは最小限しか書いていない
@SpringBootTestやMockMvcの使い方を「なんとなく」知っている程度
→テストの全体像を整理し、基本から体系的に学び直すのに最適です。
2.ユニットテストと統合テストの使い分けに悩んでいるエンジニア
どこまでモック化すべきか?
DBアクセスやサービス層のテストをどう組み立てればよいか?
→ 実際のコード例や@Sqlによるデータ準備を通して「ここはユニットで、ここは統合で」と判断できるようになります。
3.チームでのテスト品質を底上げしたいリーダー・リードエンジニア
プロジェクト全体としてテストカバレッジを高めたい
E2EテストやSlice Testingの導入を検討している
→さまざまな粒度のテストを組み合わせる実践的なヒントを持ち帰れます。
4.JUnitやMockitoの基本を習得済みの初中級者
セミナーではJUnit5やMockitoの基礎を前提としているため、まったくの初心者よりは「基本の書き方は理解している人」に向いています。
逆に言えば、JUnitのアノテーション(@Test,@BeforeEachなど)やMockitoの基本(@Mock,when/thenReturnなど)を少しでも触ったことがあれば十分にキャッチアップできます。
「Spring Bootを使ったことがあり、これから本格的にテストも書いていきたい」というエンジニアに強くおすすめできます。個人開発のスキルアップにも、チームでのテスト戦略を考えるうえでも役立つ内容でした。
このセミナーをおすすめできない人
1.Java / Spring Boot未経験者
本セミナーでは、すでにSpring Bootで開発したことがある人を前提としています。
JUnit5やMockitoの基礎知識(@Test、assertEquals、@Mockなど)を知っている前提なので、Java自体にまだ慣れていない人には難易度が高めです。
※そんな方におすすめのセミナー:Javaプログラミング入門
2.テスト自動化の高度なノウハウを探している人
セミナーは「入門」編として構成されており、基本的なユニットテスト、統合テスト、MVCテスト、E2Eテストを幅広く触れる内容です。
CI/CDパイプラインへの組み込みや大規模プロジェクトにおけるテスト設計指針といった上級者向けのテーマは扱われません。
※そんな方におすすめのセミナー:AI駆動開発入門
3.すでにSpring Bootで体系的にテストを書けている人
@SpringBootTest、MockMvc、@DataJpaTestなどを実務で使いこなしている人にとっては、内容が復習レベルにとどまる可能性があります。
新しい知識を得るよりも「確認・整理」の意味合いが強くなるでしょう。
※そんな方におすすめのセミナー:AI駆動開発入門
4.現場でテストを一切書かない人
テスト駆動開発(TDD)や品質保証について、プロジェクト方針としてもテストを導入する予定がない場合は、学んだ知識を活かす機会が限られてしまいます。
「Java/Spring Bootの基礎がまだ固まっていない人」や「すでに高度な自動化ノウハウを求めている人」にとっては、このセミナーは最適ではありません。逆に「実務に役立つテストの基本をしっかり押さえたい人」にはぴったりと言えます。
感想とまとめ
今回のセミナーを通じて特に印象的だったのは、やはり講師の方の柔軟な対応です。参加者の経験や理解度に合わせて重点を置くポイントを調整していただけたことで、「自分に合った学びができている」「疑問点を持ち越さず先に進めている」という実感を持ちながら受講できました。
また、テスト研修はこれまで受けた他の研修と比べても演習の比重が大きいと感じました。実際に手を動かしてコードを書く時間が多く、理解度が格段に上がります。演習には事前に答えも用意されているため、安心して取り組める点もありがたかったです。演習内容は振り返り中心で構成されており、難しすぎず、まさに「ちょうどよい」レベルでした。
複雑な代入処理など理解が難しい箇所についても、繰り返し丁寧に説明していただけたことで、気が付けば自然に理解できていました。加えて、受講者が疑問に思いそうな点を先回りして解説してくれる進め方も非常にありがたかったです。
まさに「Spring Boot Testとセミナーに対する理解、経験値が非常に経験豊富で知見の深い講師」によるセミナーだった、と、今回改めて強く実感しました。
また付録では「Database Rider」について解説されており、こちらもかなり充実しております。受講後にぜひ読み込んでいただきたい内容です。
全体を通じて、「知識が定着する」実感が強い、満足度の高い研修でした。
いかがだったでしょうか。このブログを通じて興味を持たれた方、Springの知見を広めたい方、Springでテスト自動化を実現したい方、ぜひこちらの研修に参加してみてください!テキストから得られる知識以外にも、たくさんの内容を持ち帰れるはずです。
本ブログでは株式会社カサレアル様が開催するSpringに関する別研修に関しても、今後レポートさせていただく予定です。お楽しみに!
関連リンク
この記事の著者:佐藤梨花
勤怠管理システムの開発(使用言語:Java)に約8年間従事。
現在はエンジニア時の経験を活かしたDevOpsやDX推進のプリセールスとして業務に精励しています。
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