第2回:DevOps時代に求められるセキュリティ ― 特権IDとアクセス管理の必然性
第1回では、DevOpsの高速リリースを支えるために「Shift-Left」と「セキュリティの組み込み」が不可欠であることを紹介しました。今回の第2回では、その中核にある 特権IDの管理とアクセス管理 について、なぜ今求められるのか、現場で生じている課題とその背景、そしてKeeper Securityが考える解決の方向性を示します。
DevOps環境で広がる「アクセスの複雑化」
DevOpsの普及で、開発から運用までの境界は急速に曖昧になりました。
● 開発者が本番環境に直接アクセスするケースが増加
● AWS、Azure、GCPなどマルチクラウド利用による権限の散在
● 外部委託ベンダーや一時プロジェクトメンバーもアクセス対象に含まれる
こうした状況では「誰が、どの権限で、どこにアクセスしているか」が不透明になり、認証情報の漏洩や権限肥大化といったリスクが生まれやすくなります。
なぜ特権IDの管理が重要なのか
特権IDは「すべてを操作できる鍵」です。これが不正利用されると、以下の深刻な被害を招きます。
● ランサムウェア拡大:侵入後、特権権限でシステム全体を暗号化
● 内部不正:共用IDでは「誰が操作したのか」が追跡できない
● 規制違反:監査証跡がなければ金融庁・厚労省・経産省などのガイドラインに抵触
つまり特権ID管理は「余分なセキュリティ作業」ではなく、事業継続・信頼維持のための前提条件 なのです。

現状の課題と担当者の心理
では、なぜ多くの現場で特権ID管理が進んでいないのでしょうか。
- パスワード・認証情報の散在
→ 「急ぎの作業だから、とりあえず共有チャットに貼っておこう」 - 特権アカウントの使い回し
→ 「管理者IDを個別に作るのは面倒だし、共用で済ませた方が早い」 - 監査対応の後回し
→ 「トラブルが起きてから調べればいい。今は新機能リリースが優先」 - スピード優先の文化
→ 「セキュリティを入れるとリリースが遅れる、だから後回しにしたい」
つまり現場担当者の心理には、「セキュリティよりも目の前のスピードを優先したい」 という切実な事情があります。結果的に、セキュリティ強化は常に「やりたいけれどできない」領域に押しやられてしまうのです。
Keeper Securityの考え方とKeeperPAMの価値
Keeper Securityは、この状況を打破するために ゼロトラスト・ゼロナレッジの思想を提唱しております。Shift-Left の考え方は現代の開発手法に必要な考え方だと思ってます。
- ゼロトラスト:すべてのアクセスを検証し、必要最小限の権限を「必要な時にだけ」付与
- ゼロナレッジ:Keeper自身も認証情報の中身を知ることができない設計
- Shift-Left:開発初期から特権管理を組み込み、後付けでなく自然にDevOpsに統合

ここにおいて重要な役割を果たすのが KeeperPAM(Privileged Access Manager) です。
KeeperPAMを導入するメリットと優位性:
担当者の心理で触れた課題は、KeeperPAMのVault機能 によって解決できます。ユーザーはKeeper Vaultを経由することで、実際のパスワードを知ることなく対象リソースへ安全にアクセス できます。その結果、スプレッドシートでのパスワード管理や使い回しといった運用は不要となり、開発初期からゼロトラスト基盤を実装できる環境 が整います。
- セッション記録と監査:すべての特権操作をログ・録画し、後から追跡可能
- ジャストインタイムアクセス:必要なときだけ特権を付与し、終了後は自動剥奪
- 使いやすさ:CLI・API・Web UIに対応し、開発スピードを落とさず利用可能
- ガイドライン準拠:経産省のサプライチェーン評価基準、厚労省の医療情報ガイドライン、金融庁のサイバーセキュリティガイドラインに適合

Keeperの考え方は明快です。「セキュリティを負担にせず、DevOpsを加速させる基盤に変える」。KeeperPAMはその中核を担うソリューションです。
まとめ
特権ID・アクセス管理が後回しにされる背景には、現場の「スピードを優先したい」という心理が存在します。しかし、その妥協が将来の大きなリスクにつながるのも事実です。
Keeper Securityは、ゼロトラストとゼロナレッジのアーキテクチャに基づき、KeeperPAMを中心に据えることで、スピードとセキュリティの両立 を実現します。これにより現場の担当者も「セキュリティを守るためにスピードを犠牲にする」必要がなくなるのです。
関連リンク
IT-EXchange KeeperPAM
特権アクセス管理・パスワード管理ソリューション
IT-EXchangeでもKeeper Securiyの製品を紹介しています。
この記事の著者:中澤 陽彦
サン・マイクロシステムズ、レッドハットを経てKeeper Security APACでチャネル営業として着任。
パートナー開拓やイネーブルメント、共同でのリード創出を推進し、日本市場でのエコシステム拡大に注力中。
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