【知っておきたい】GitLab最新ブログのご紹介 Part10

近年、ソフトウェア開発の現場ではAI技術の進化が著しく、コード生成やテスト、自動レビューなど多岐にわたる支援が急速に広がっています。しかし、従来のAI支援は学習済みモデルや公開ソースの知識に依存しており、自社のソースコードや課題管理、CI/CD、過去履歴、ドキュメントなど「内部のリアルなコンテキスト」を最大限活用した支援が難しいという課題がありました。
今回のGitLab公式ブログでは、こうした「内部コンテキストの活用」が大きく前進する可能性が示唆されています。本記事では、そのアップデートの要点をわかりやすくご紹介します。
GitLab Duo Agent Platform × MCP -- アップデートのポイント
公式ブログによると、GitLab Duo Agent PlatformがModel Context Protocol(MCP)のサポートを開始しました。これにより、開発現場に以下のような新しい可能性が広がります。
- MCPクライアントとしての機能:
Duo Agent Platformは外部のMCPサーバーに接続可能になり、GitLab外のツールやシステム(データベース、ドキュメント、デザインファイル、クラウドサービスなど)と安全かつ標準化されたインターフェースでデータや操作をやり取りできるようになります。 - MCPサーバーとしての機能:
GitLab自体がMCPサーバーとして動作可能となり、外部のAIアシスタントやエージェント(例:CursorやClaude Desktopなど)から、GitLab内のイシュー、マージリクエスト、パイプライン、履歴などにアクセス・操作ができるようになります。 - IDEからの自然言語操作:
開発者は普段使っているIDE(例:VS CodeやJetBrains系IDE)から、「最近のバグのあるジョブのログを見せて」「このMRの変更点を要約して」など、自然言語でGitLab内の情報取得や操作が可能になる未来が期待されます。これにより、ツール間の行き来や文脈切り替えの手間が大幅に削減されます。 - 開発ワークフローの効率化と自動化:
GitLabが持つ「コード・課題・パイプライン・デプロイなどの情報統合基盤」を活かし、AIエージェントが"チームのナレッジ"を理解した上で動作できるようになります。これにより、単なる「コード補助AI」に留まらず、「プロジェクト全体を理解するAIパートナー」としての活用が現実味を帯びてきました。
なぜ今このアップデートが注目されるのか
今回のMCPサポートは、「AI × ツールチェーン統合」の第2世代への大きな一歩だと言えるでしょう。従来のAI支援は「コード補完」や「簡易なレビュー」「コード生成の補助」が主でしたが、MCPの導入によって、自社のプライベートリポジトリやイシュー、CI/CD、ドキュメント、さらには他システムとの連携情報など。リアルな開発コンテキストをAIが活用可能となり、文脈を理解したAIによる信頼性の高い支援や自動化、レポーティングが実現できるフェーズに突入しました。
これは「AIは補助」という枠を超え、「AIがチームの一員/アシスタント」として本格的に機能する可能性を示しており、特に以下のような組織やチームにとって大きなインパクトをもたらします。
- 大規模プロジェクトや複数サービスを同時に管理し、ドキュメント/課題/CI/リポジトリが散在しがちな組織
- 異なるツール間のコンテキスト断絶や情報収集・確認作業がボトルネックになっているチーム
- 開発速度だけでなく、品質・セキュリティ・ドキュメント整備・ナレッジ管理を総合的に向上させたいスタートアップやエンタープライズ
まとめ
今回紹介したアップデートは、「AI導入」「ツール統合」「開発体験の効率化」という三要素をバランス良く満たす大きな前進です。特に「開発コンテキストを含めたAI支援」が実現することで、単発のコード補助にとどまらず、チームやプロジェクト全体にまたがる意思決定支援やナレッジ管理、ドキュメント生成など、多面的な用途が期待できます。
また、MCPはオープンな標準であるため、今後はGitLab以外のツールやサービスとの連携拡大や、自社専用ツール・クラウドサービスとの統合も視野に入り、さらなる自動化・効率化が期待されます。AI分野(生成AIやAIエージェント)は今後も注目度が高まると考えられますので、引き続き最新動向をウォッチしていきたいと思います。
【参考】
GitLab Duo Agent PlatformがModel Context Protocolをサポート
関連リンク
GitLab公式ブログ:https://about.gitlab.com/ja-jp/blog/
DevOps Hub GitLab関連ブログ: /devops-hub/blog/gitlab/
この記事の著者:近藤泰介 -Taisuke Kondoh-
SB C&S株式会社
主にデジタルワークスペース実現のためのソリューション展開、案件支援、先進事例の獲得、協働パートナーの立ち上げを経験。
現在は新規事業開発やDevOps・クラウドネイティブに関する提案活動、販売代理店の立ち上げ、
国内外の新規商材発掘(目利き)/調査といったTec Scouting活動に従事。
また、Microsoftを中心としたビジネス領域の調査・プリセールスも行う。
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