SB C&Sの最新技術情報 発信サイト

C&S ENGINEER VOICE

SB C&S

Cisco Live 2026 Day1速報:AIエージェントが特別ではなくなる時代へ

AI
2026.06.03

本日未明、ラスベガスで行われたCisco Live 2026 Day1基調講演をライブ視聴しました。速報として、キャプテンおおつかの目線で 印象に残ったポイントを整理します。

 

コアメッセージは、かなり明確です。

Agentic Eraでは、AIを導入するだけでは不十分。
人とAIエージェント(AI Agent)が共に働ける企業基盤をどう作るか。

  

Ciscoはこの問いに対して、Build / Secure / Run という構成で答えました。

AI-readyなネットワーク、データセンター、コラボレーション基盤を作る。
人、AIエージェント、アプリ、データ、ネットワークを守る。
そして、人手だけでは追いつかない速度で、AIを活用して運用する。

つまり今回のDay1は、AIエージェントが企業の中で動く前提で、企業のIT基盤そのものを再設計する話だったと受け止めています。

CiscoLive260602-2.jpg

 

主役はCisco Cloud Control

今回の発表では、多くの製品や機能が登場しました。

Cisco Cloud Control、AgenticOps、AI Canvas、Cisco Data Fabric、Splunk、AI Defense、Astrix、Zero Trust for Agents、Live Protect、Cisco IQ、Quantum Readyなど、かなり盛りだくさんです。

ただし、講演の流れを見ると、すべてが同じ重さだったわけではありません。

最も重く扱われていたのは、やはり Cisco Cloud Control です。

 

Cisco Cloud Controlは、ネットワーク、セキュリティ、データ、運用を横断して、人とAIエージェントが同じ文脈で運用・防御を進めるための統合基盤として位置づけられていました。

これまでのCiscoは、Meraki、Catalyst、Nexus、Security Cloud Control、Intersight、Splunk、Webex Control Hubなど、それぞれの領域に強い管理基盤を持っていました。

しかし、AIエージェント時代に必要なのは、個別の管理画面を増やすことではありません。
必要なのは、全体の状態を把握し、文脈を理解し、次のアクションにつなげることです。

その意味で、Cisco Cloud Controlは単なる管理画面の統合ではなく、AgenticOpsを実行するための中核基盤として打ち出されたと見ています。

 

CiscoLive260602-3.jpg

 

Data FabricとしてのSplunk

もう一つ、講演で強く印象に残ったのがSplunkの扱いです。

正直なところ、Day1の体感ではSplunkがかなり強く見えました。

Cisco Data Fabric powered by Splunkという形で、ネットワーク、セキュリティ、アプリケーション、サードパーティのデータを束ねる基盤として紹介されていました。

ここで重要なのは、Splunkが単なるログ分析やSIEMとして扱われていなかった点です。

 

AIエージェントが運用を支援するには、判断材料が必要です。
ネットワークの状態、セキュリティの兆候、アプリケーションの挙動、ユーザー体験、外部サービスの状況。
これらがバラバラのままでは、AIエージェントは正しい判断ができません。

だからこそ、Cisco Data FabricでSignalを束ね、Contextを作り、Cloud ControlでActionにつなげる。

今回のDay1では、Splunkが「AIエージェントに判断させるためのデータ基盤」として再定義されていたように感じました。

CiscoLive260602-4.jpg

 

SecurityもAIエージェント前提へ

Securityについても、重要なメッセージがありました。

ただし、講演上の扱いとしては、Cloud ControlSplunkほど深掘りされた印象ではありません。むしろ、具体論はブログや個別発表側に展開されている印象です。

それでも、方向性は明確でした。

 

Agentic AI時代のSecurityでは、守る対象が変わります。

従来は、人、端末、アプリ、ネットワークを守ることが中心でした。
しかしAIエージェントが業務や運用に入り込むと、守るべき対象はさらに広がります。

 ・AIエージェントを脅威から守る。
 ・AIエージェントによるリスクから企業を守る。
 ・そして、人手では追いつかない速度で検知・対応する。

 

講演では、次のような考え方も示されていました。

 ・すべてのAgentを把握する。
 ・すべてのアクションを認可する。
 ・リスクに応じてリアルタイムに制御する。

 

これは、Zero Trustの考え方が人間ユーザー中心から、AIエージェントやNon-Human ID(NHI)、Agentの行動へ拡張されていくと見てよいでしょう。

AI Defense、Astrix、Zero Trust for Agents、Live Protectといった発表は、この文脈で理解すると分かりやすくなります。

CiscoLive260602-5.jpg

 

脆弱性対応も「パッチ待ち」だけでは足りなくなる

Securityの中でも、個人的に重要だと感じたのが脆弱性対応です。

AIによって、脆弱性の発見や悪用までのスピードが変わりつつあります。

これまでのように、脆弱性情報を確認し、影響範囲を調べ、優先順位をつけ、パッチを検証し、適用するという流れだけでは、間に合わない場面が増えていく可能性があります。

 

そこで出てくるのが、Shields UpLive Protectの考え方です。

恒久対策としてのパッチ適用は重要です。
しかし、パッチを適用できるまでの間にどう守るのか。
この「脆弱性ギャップ」を、補償的コントロールで埋める発想が強く打ち出されています。

AIエージェント時代のSecurityは、単に新しい脅威に対応するだけではなく、脆弱性対応の運用モデルそのものを変える話でもあると感じます。

これは別の記事で紹介したいと思います。
https://licensecounter.jp/engineer-voice/blog/articles/20260605_cisco_live_2026mythos.html

 

Build / Secure / Runで見ると整理しやすい

今回のDay1を整理すると、CiscoはAIエージェント時代の企業基盤を、Build / Secure / Runで再定義しようとしているように見えます。

CiscoLive260602-6.jpg

Buildは、AIエージェントが動くための企業インフラを整えることです。
Campus & Branch、Data Center、Collaboration、Cisco Data Fabricなどが該当します。

Secureは、人だけでなく、AIエージェント、NHI、AIアプリ、脆弱性対応までを守ることです。
Security for Agentic AI、AI Defense、Astrix、Zero Trust for Agents、Live Protectがこの領域に入ります。

Runは、人とAIエージェントが同じ文脈で運用・防御を進めることです。
ここで中心になるのが、Cisco Cloud ControlAgenticOpsAI Canvas、そしてSplunkです。

この3つの中でも、Day1の重心はRunにあったと感じます。

なぜなら、AIエージェント時代に最も変わるのは、単にインフラを作ることでも、単に守ることでもなく、複雑なIT環境をどう運用し続けるかだからです。

 

CiscoはAI時代のCritical Infrastructureへ

Day1のラップアップでは、CiscoはAI時代のCritical Infrastructureである、というメッセージが示されていました。

これは、Ciscoを単なるネットワークベンダーとして見るのではなく、AI時代の企業ITを支える統合基盤として再定義するメッセージだったと思います。

 ・ネットワークを作る。
 ・セキュリティを組み込む。
 ・データを束ねる。
 ・AIエージェント
と人が同じ文脈で運用する。

この全体をCisco Cloud Controlを中心にまとめていく。

CiscoLive260602-7.jpg

 

今回のCisco Live 2026 Day1は、Ciscoが「AI時代のネットワーク」を語った場ではなく、AIエージェント時代の企業基盤をどう作り、守り、運用するかを提示した場だったと考えています。

そして、その中心にはCloud Controlがあり、その判断基盤としてSplunk / Cisco Data Fabricがあり、SecurityもAIエージェント前提へ再設計されていく。

Ciscoが目指しているのは、AIを使うための製品追加ではなく、AIエージェントが働く前提で企業IT基盤そのものを作り替えることだと感じました。

  

追記

今回発表されたAgenticOps関連の機能やサービスと、Cloud Controlの相関関係を1枚に整理しました。

CiscoLive260602-8.jpg

 

インフラ基盤だけでなく、AIエージェントとの運用を考えるうえで、データ基盤も重要だなと気づかされました。

CiscoLive260602-9.PNG

 

※講演ではトラブルシューティングのデモでした。Merakiダッシュボードが得意としていたトラシューの世界がCisco全製品に広がるんだなという印象を受けました。さらにAgentic AI にて自分たちに最適化された自己解決まで進化させる世界。。複雑な要素が重なりあう中で、問題解決にあたる難しさはNetwork/Securityの常ですが、ここにAIを活用して利用者もヘルプデスクも、サポートサービス側も幸せになろうという未来がすぐそこまで見えてきました。

 

最後に

発表の一覧はこちらにありますが、文字だとその熱量がわからないと思い、視聴した感想を書きました。
https://newsroom.cisco.com/c/r/newsroom/en/us/a/y2026/m06/cisco-unveils-agentic-platform-for-operating-and-defending-critical-it-infrastructure.html

また、Cisco Blogsには28本もの投稿がDay1に行われております。
https://blogs.cisco.com/

 

※Day2レポートはこちら

続編として、Day2 基調講演で示された AgenticOps の具体デモと、Shields Up / Mythos から見た脆弱性対応の変化についても整理しています。
https://licensecounter.jp/engineer-voice/blog/articles/20260604_cisco_live_2026_day2agenticopshuman.html

Connect Everything. - Ciscoで拡がる無限の可能性 -

著者紹介

SB C&S
エバンジェリスト
大塚 正之 - Masayuki Otsuka -