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【UiPath Agents】Maestro の使い方

UiPath
2025.06.23

みなさま、こんにちは。植木です。

前回の記事に続いて今回は、「Maestro」の詳しい使い方についてご紹介します。

ご参考にしていただけますと幸いです。

 

※他の記事はこちら


目次

1.Maestro の使い方

1-1.準備

1-2.開発

1-3.テスト

2.さいごに

 


1.Maestro の使い方

ここでは、以下のシナリオを利用して実際に Maestro でプロセスを作成します。

 

◆サポート窓口の返金対応プロセス

1.顧客から返品申請を受領

2.申請内容を確認し、不備があれば顧客へ連絡、不備がなければAIエージェントで返金対象か判定

3.返金対象外の場合は顧客へ連絡、返金対象の場合は会計チームへ連絡

4.会計チームの返金処理後、返金処理結果を顧客へ連絡

 

※注意

Maestro はSaaS製品との連携機能を強みとしており、これを活用することで効率的な運用が可能です。

しかし、セキュリティポリシーや環境の制約によりSaaS製品との連携が難しい場合もあることを考慮し、

本記事ではSaaS製品と連携を行う箇所は、動作確認用のRPAに置き換えて解説を行います。

(例:「メール送信」が発生する箇所を、Studio Web で作成したログ出力を行うRPAに置き換えるなど)

 

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1-1.準備

本記事では作成済みのワークフローやAIエージェントを使用します。

 

1.【AIエージェントのデプロイ】

 

【手順】

1.コンテキストグラウンディングの設定

以下の「返金規定サンプル.pdf」をダウンロードし、

以下の記事を参考に、コンテキストグラウンディングの設定を行ってください。

※リンクを右クリックしてファイルを保存してください

 

【ファイル】: 返金規定サンプル.pdf

【記事】: 【UiPath Agents】Agent Builder を使ったAIエージェントの作り方 ー 4-2. AIが参照する返金規定の設定

 

2.ソリューションパッケージ(AIエージェント)のアップロードおよびデプロイ

以下のソリューションパッケージをダウンロードし、

以下の手順で、アップロードおよびデプロイを行ってください。

(個人でテストする場合、アップロード先は個人用ワークスペースで大丈夫です)

 

【ファイル】: Refund_test-1.0.1.zip

  ※本AIエージェントの詳細は以下の記事をご参照ください。

  【参考記事】:【UiPath Agents】Agent Builder を使ったAIエージェントの作り方

 

【手順】

①(個人でテストする場合)Orchestrator の「My Workspace」を選択し、

  「ソリューション」 > 「パッケージ」 の順に選択し、

  「ソリューションパッケージをアップロード」をクリック

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②「Refund_test-1.0.1.zip」をアップロード

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③アップロードが完了したことを確認し、

 「パッケージをデプロイ」ボタンをクリック

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④「deploy-modal.dialog_review」をクリック

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⑤「Internal documents」(Refund_test-1.0.1.zip に設定されている既存のインデックス)を選択し、「Storage Bucket」を「手順1.コンテキストグラウンディングの設定」で新たに作成したストレージバケットに変更し、「検証」・「デプロイ」を順番に実行

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⑥デプロイが完了したことを確認し、「⋮」から「デプロイをアクティブ化」を選択

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⑦「このリンクを~」の文字列をクリックし、処理が正常終了したことを確認し、デプロイのアクティブ化を実行

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2.【アクションアプリのデプロイ】

Apps で作成したAction Center 用のアプリをデプロイします。

以下の2つのファイルをダウンロードし、

以下の記事を参考に、デプロイを行ってください。

※リンクを右クリックしてファイルを保存してください

  

 ファイル① 申請内容確認: Maestro_申請内容確認.uiapp

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 ファイル② 返金処理: Maestro_返金処理.uiapp

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【参考記事】: 【UiPath Agents】Agent Builder を使ったAIエージェントの作り方 ー 4-3.エスカレーション用アプリの作成 ー 【補足:Appsファイルのダウンロード】

 

 

3.【RPAワークフローのパブリッシュ】(SaaS製品との連携ができない場合にご利用ください)

Studio Web で作成した動作確認用のRPAをパブリッシュします。

以下のファイルをダウンロードし、

以下の手順でパブリッシュを行ってください。

 

【ファイル】: Maestro_返金処理プロセス_動作確認用.uip

※ログ出力を行うのみのフローです。

 

【手順】

①Studio Web を開き、新規作成の「▼」ボタンをクリックし、

 「インポート」を選択し、ダウンロードしたファイルをインポート

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②インポートされたワークフローを開き、パブリッシュを行う

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1-2.開発

タスクやイベントを設定しながら、プロセスを開発します。

 

【手順】

1.UiPath Studio Web を開き、新規作成から「エージェンティック プロセス」を選択

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2.画面左側のアイコン一覧から「参加者」を選択し、ドラッグ&ドロップで追加

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3.参加者(プール)を選択し、「レーンの分割」アイコンをクリック

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4.プールの名前を設定(プールとレーンの選択を間違えやすいのでご注意ください)

 

 ■プール名: 通販事業部

 

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5.2つのレーンの名前を以下の通り設定

 

 ■上のレーン: サポート窓口

 ■下のレーン: 会計チーム

 

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6.サポート窓口のレーンに「タスク」を追加し、

 「アクションアプリタスク」(アクションセンターのタスク)を設定

 ※今回はテスト実行のため、担当者を自分にします

 

 ■名前: 申請内容確認

 ■アクション: アクションアプリタスクを作成

 ■アクションアプリ: Maestro_申請内容確認

 ■タスクのタイトル: 申請内容確認

 ■担当者: 自分のアカウント

 

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7.排他的ゲートウェイとタスクを2つ追加して、接続する

 (開始イベントや他のタスクも接続してください。以降の説明では接続の手順は省略します。)

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8.以下の通り、分岐条件を設定

 

 【上の分岐】

  ■ラベル: 不備あり

  ■条件:  vars.selectionResult == "不備あり"

  ※ "vars.selectionResult" は、変数「Selection_result」になります。

  ※この変数は、アクションアプリ「Maestro_申請内容確認」の出力引数で、

   タスクにアクションアプリを設定すると自動的に追加されます。

 

 【下の分岐】

  ■ラベル: 不備無し

  ■条件: vars.selectionResult == "不備無し"

 

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9.不備あり(上側のタスク)に、申請内容の不備を連絡するアクションを設定

 

 ■名前: 申請内容の不備連絡

 ■アクション: RPAワークフローを開始して待機

 ■オートメーション: Maestro_返金処理プロセス_動作確認用

 ■Input(入力引数): selection_result

 

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■2025/6/25 追記

※補足:個人用ワークスペース以外のRPAを利用する場合

 

個人用ワークスペースフィード以外に追加されているRPAを利用する場合は、

対象フォルダで無人実行ができるよう事前に設定してください。

設定されていない場合、RPAを実行できずエラーになります。

 

設定①:アクセス権を管理

ロボットの種類が、"Unattended" に設定されているアカウントが一つ以上必要です。

種類はユーザーアカウントでもロボットアカウントでも問題ありません。

 

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設定②:マシン

無人実行に対応しているマシンの割り当てが必要です。

(下図は、"Cloud ロボット - サーバーレス" を利用した一例です)

 

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10.不備無し(下側のタスク)に、AIエージェントを実行するアクションを設定

 

 ■名前: AIエージェント実行

 ■アクション: エージェントを開始して待機

 ■エージェント: Refund_Agent

 ■入力引数:

in_order_date: order_date

・in_product_name order_product_name

in_return_reason: return_reason

in_order_number: order_number

 

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11.排他的ゲートウェイを追加し、タスクを2つ追加し、返金対象外と返金対象の条件分岐を設定

 

 【上の分岐】

  ■ラベル: 返金対象外

  ■条件:  vars.escalationResult == "返金対象外"

  ※返金対象外の場合はAIエージェントでエスカレーションが発生するため、

   変数「Escalation_Result」を使います。

 

 【下の分岐】

  ■ラベル: 返金対象

  ■条件: vars.aiJudgeResult == "返金対象"

  ※返金対象の場合はエスカレーションが発生しないので、

   変数「AI_Judge_Result」を使います。

 

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12.返金対象外(上側のタスク)に、返金対象外の連絡をするアクションを設定

 

 ■名前: 返金対象外の連絡

 ■アクション: RPAワークフローを開始して待機

 ■オートメーション: Maestro_返金処理プロセス_動作確認用

 ■Input(入力引数): escalation_result

 

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13.返金対象(下側のタスク)に、返金手続きの連絡をするアクションを設定

 

 ■名前: 返金手続きの連絡

 ■アクション: RPAワークフローを開始して待機

 ■オートメーション: Maestro_返金処理プロセス_動作確認用

 ■Input(入力引数): AI_judge_result

 

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14.会計チームのレーンにタスクを追加し、返金処理の 「アクションアプリタスク」を設定

 ※今回はテスト実行のため、担当者を自分にします

 

 ■名前: 返金処理

 ■アクション: アクションアプリタスクを作成

 ■アクションアプリ: Maestro_返金処理

 ■タスクのタイトル: 返金処理

 ■担当者: 自分のアカウント

 

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15.サポート窓口のレーンにタスクを追加し、返金処理結果の連絡を行うアクションを設定

 

 ■名前: 返金処理結果の連絡

 ■アクション: RPAワークフローを開始して待機

 ■オートメーション: Maestro_返金処理プロセス_動作確認用

 

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16.終了イベントを追加し各連絡タスクと接続

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1-3.テスト

開発したプロセスが想定通り動くかテストします。

 

【ケース①】:申請不備があるとき

 

1.「テスト」ボタンをクリックして実行開始

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2.申請内容確認のステップをクリックし、「アプリタスクを開く」を選択

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3.Action Center が開くので、今回は「不備あり」を選択

 (返品理由は何でも大丈夫です)

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4.「申請内容の不備連絡」タスクを通り、終了イベントに到達することを確認

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【ケース②】:申請不備なしで、「返金対象外」のとき

 

1.再度テストを実行し、同様の手順でアプリタスク(Action Center)を開き、

 返品理由で「開封済み~」を選択し、「不備無し」を選択

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2.AIエージェントのエスカレーションが実行されたことを確認し、

 エスカレーションのアプリ(ここでは「Refund_confirm」)のステップをクリックし、

 「taskUrl」のURLを「Ctrlキーを押しながらクリック」

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3.Action Center が開くので、今回は「返金対象外」を選択

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4.返金対象外の連絡タスクを通り、終了イベントに到達することを確認

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【ケース③】:申請不備なしで、「返金対象」のとき

 

1.再度テストを実行し、同様の手順でアプリタスク(Action Center)を開き、

 返品理由で「未開封~」を選択し、「不備無し」を選択

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2.(エスカレーションが発生した場合) 「返金対象」ボタンをクリック

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3.「返金手続きの連絡」タスクを経由し、

  「返金処理」タスクまで到達したら、タスクを選択して「アプリタスク」を開く

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4.「送信」ボタンをクリック

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5.返金処理結果の連絡タスクを通り、終了イベントに到達することを確認

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2.さいごに

前編・後編に分けて、Maestro の概要と使い方についてご紹介しました。

Maestro は、AI・ロボット・人間を統合し、

複雑なビジネスプロセスを効率的かつ統制された方法で管理・最適化するプラットフォームです。

これにより、組織はプロセス全体を把握し、

継続的な改善を通じてパフォーマンス向上やビジネス成果の最大化を実現できます。

さらに、関係者間の連携を強化し、信頼性やガバナンスを向上させることで、組織の成長を加速させます。

業務の信頼性向上・効率化を後押しするツールとして、ぜひご活用いただけますと幸いです。

著者紹介


植木 真